⽣活習慣病とは⽣活習慣が発症の原因に関係していると考えられている疾患の総称です。
当院では、⽣活習慣の⾒直しやアドバイス等をはじめ、
お⼀⼈お⼀⼈の状況を考慮して診断や
治療・管理を⾏います。

高血圧や糖尿病、脂質異常症(高脂血症)など生活習慣病の治療法として3本柱があります。
それは食事療法、運動療法、そして薬物療法です。健診で異常を指摘され、
内科のお医者さんや看護師さんから「運動しましょう」「食事に注意しましょう」、
あるいは「もう内服治療をしましょう」と指導されたことのあるかたも多いでしょう。
いずれの治療法も重要なのですが、もっとも重要なのは別のところにあると私は考えています。
それは「このままではいけない」とみなさまが「気づくこと」です。

話は脱線しますが、これまで中電病院循環器内科の勤務医時代、中電社員の禁煙支援を1000人以上行ないました。
中電病院禁煙治療では保険適用で100人以上支援し、禁煙成功率90%以上と、日本トップレベルの禁煙成功率を残しました。
どうしてこれほどの高い禁煙成功率なのか。禁煙チャレンジされるみなさまご自身が
「このままタバコを吸い続けてはいけない」ということに気づかれたから、タバコをやめることができたのです。
私は禁煙させたのではなく、禁煙したい気持ちを応援・サポートしただけなのです。

生活習慣病のコントロールも一緒です。
人から食事や運動、内服治療をいわれて治療してもそれなりのコントロールにしかなりません。
ご自身が「このままではいけない」「幼い子供のため、家族のため、自分は今、倒れるわけにはいかない」と気づき、
自らの意志で生活習慣病に立ち向かうことが重要となるのです。
みなさまが生活習慣病を克服しようとするとき、
当クリニックにて医学的立場からサポートさせていただければうれしく思います。

高血圧

そもそも血圧とは?

⾎圧とは⼼臓が収縮して⾎液を全⾝に送る際、⾎液が⾎管を押す圧⼒のことです。⼼臓が収縮して⾎液が⼤動脈に送られると、⼤動脈は少しだけ膨らみます。その時の圧⼒を収縮期⾎圧(上の⾎圧)といいます。⼼臓が拡張して⾎液をため込んでいる間は、少しだけ膨らんだ⼤動脈がその弾⼒により⾎液を少しずつ全⾝に送り続けます。それが拡張期⾎圧(下の⾎圧)です。

どうして高血圧を放置してはいけないのか

⾼⾎圧を放置すると動脈硬化が進み、脳卒中や⼼筋梗塞を起こしやすくなります。脳卒中も⼼筋梗塞も前触れなくある⽇突然襲ってきます。「⽣命をも脅かす脳卒中や⼼筋梗塞を予防したい」「動脈硬化を予防したい」、そのためには⾃覚症状はなくても⾼⾎圧の治療を⾏い、良好な⾎圧を維持することが⼤切となるのです。⾼⾎圧のほとんどが、原因不明の「本態性⾼⾎圧」というものです。中⾼年のかたが「私は⾎圧が⾼いんよー」というあの⾼⾎圧です。

注意が必要!二次性高血圧

⾼⾎圧全体のうち、約10%にホルモン異常などにより⾎圧が⾼くなるという「⼆次性⾼⾎圧」というものがあります。実はこの⼆次性⾼⾎圧を⾒落とさないようにすることがとても⼤切です。
もしホルモン異常による⼆次性⾼⾎圧であれば、そのホルモン異常を治せば⾎圧は下がり、もしかしたら⾎圧の薬を飲まなくてよいかもしれないのです。⾼⾎圧で初診された⽅には、この⼆次性⾼⾎圧が隠れていないかどうかを⾎液の検査で確認します。
代表的な二次性高血圧
・腎⾎管性⾼⾎圧
・原発性アルドステロン症
・褐⾊細胞腫
・甲状腺機能亢進症
・甲状腺機能低下症
・クッシング症候群
など
主な自覚症状
高血圧に自覚症状はほとんどありません。
血圧がかなり高い時には、頭痛などの症状が出る場合もありますが、多くの場合、症状はありません。高血圧は、「自覚症状がない」にもかかわらず、水面下で身体をむしばんでいくというのがポイントです。よって、高血圧は「サイレントキラー」(静かな殺し屋)とも呼ばれています。
降圧目標
  診察室血圧
(mmHg)
家庭血圧
(mmHg)
75際未満の成人 ※1
脳血管障害患者
(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞なし)
冠動脈疾患患者
CKD患者
(蛋白尿陽性) ※2
糖尿病患者
抗血栓薬服用中
<130/80 <125/75
75歳以上の高齢者 ※3
脳血管障害患者
(両側頸動脈狭窄や脳主幹動脈閉塞あり、
または未評価)

CKD患者
(蛋白尿陽性) ※2
<140/90 <135/85
  • 未治療で診察室血圧 130-139/80-89mmHgの場合は、低・中等リスク患者では生活習慣の修正を開始または強化し、高リスク患者ではおおむね一ヶ月以上の生活習慣修正にて降圧しなければ、降圧薬治療の開始を含めて、最終的に130/80mmHg未満を目指す。すでに降圧薬治療中で130-139/80-89mmHgの場合は、低・中等リスク患者では生活習慣の修正を強化し、高リスク患者では降圧薬治療の強化を含めて、最終的に130/80mmHg未満を目指す。
  • 随時尿で0.15g/gCr以上を蛋白尿陽性とする。
  • 併存疾患などによって一般に降圧目標が130/80mmHg未満とされている場合、75歳以上でも忍容性があれば個別に判断して130/80mmHg未満を目指す。

降圧目標を達成する過程ならびに達成後も過降圧の危険性に注意する。過降圧は、到達血圧のレベルだけでなく、降圧幅や降圧速度、個人の病態によっても異なるので個別に判断する。
[高血圧治療ガイドライン 2019(日本高血圧学会)より]

糖尿病

糖尿病とは?

健診で「⾎糖が⾼めですね」といわれたことのあるかたはいらっしゃるのではないでしょうか。⾎糖値とは、⾎液中の糖の濃度のことです。⾷事をすると、栄養分の⼀部は糖となり腸から吸収されます。糖は体にとって重要なものであり、⾷事をしていない時間帯でも、肝臓から糖が作られ、常に⾎液に乗って全⾝にエネルギー源として運ばれ、細胞に取り込まれていきます。
この時、膵臓から分泌されるインスリンが重要な働きをし、通常であれば⾎液中の糖の濃度は適正に保たれますが、インスリンの働きが悪くなると⾎糖値が上昇し、糖尿病の状態となっていきます。 ⾎糖値は空腹時では低く、健康な⼈でも⾷後は⾼くなります。糖尿病になってくると、空腹時の⾎糖値が⾼くなるだけでなく、⾷後の⾎糖値の跳ね上がりもより⾼くなります。⾎糖値は⾷事により上がったり下がったりを繰り返しているわけですが、それを平均して⽰してくれるのが、HbA1c(ヘモグロビン エーワンシー)という指標です。⼀般診療ではもちろんのこと、健診やドックでも重要視されている糖尿病の指標です。

糖尿病の症状

糖尿病の症状は、軽症では⾃覚症状はありません。代表的な症状として、のどが渇いたり、尿が増えたり、体重が減ったりというものがありますが、⾎糖値がかなり⾼値になって、初めて症状として出てくるものです。糖尿病は⼼筋梗塞や脳梗塞の危険を⾼めますが、それ以外にも3⼤合併症といわれる糖尿病性網膜症(眼底出⾎して失明に⾄る)、糖尿病性腎症(腎不全となり透析が必要になる)、糖尿病性神経障害(⼿⾜の感覚が鈍り、潰瘍を作ったり壊死をきたしたりする)が知られています。
この3⼤合併症の嫌な所が、過去の糖尿病のコントロールの悪かった歴史が後になって合併症を起こすことです。つまり、糖尿病のコントロール不良な状態が⻑年続くと、その後⼼を⼊れ替えて糖尿病をきちんとコントロールするようになっても、あとから合併症が起こってくるということです。
健診で「⾎糖値が⾼い」や、「糖尿病について精査が必要」など指摘されたら、⾃覚症状がないからと放置することなく、きちんと精査を受けるようにしましょう。
主な自覚症状
  • のどが乾く、尿の量や回数が多い、尿に糖がでる
  • 体重が急激に減る、全身がだるく疲れやすい
  • 目がかすむ(視力障害)、立ちくらみ、手足のしびれ

脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症(高脂血症)とは?

以前は「高脂血症」と言われていましたが、善玉コレステロールが低いのも問題となるので、「脂質異常症」と名称が変わりました。総コレステロールやLDLコレステロール、あるいは中性脂肪が高い場合、精査加療が必要です。

生活習慣の改善が重要

そもそも⼈間を含む動物は太古の昔より、「いつ⾷べ物にありつけるか」わかりませんでした。そこで「⼀度⾷べ物を摂取したら、そのエネルギーをできるだけ貯蓄しよう」という遺伝⼦が発達し、動物は⽣きながらえてきました。しかし近年飽⾷の時代となり、カロリーオーバーの⾷事や運動不⾜により肥満が増え、いわゆるメタボの時代となってしまいました。 このように脂質異常症は、運動不⾜や⾼カロリーの⾷事など⽣活習慣の乱れが誘因となる場合が多く、まずは⽣活習慣の改善が最も重要となります。
主な自覚症状
脂質異常症には、自覚症状はほとんどありません。そのため気づくのが遅れ、ある日突然病気におそわれる人が少なくありません。
脂質異常症を放置していると、動脈硬化が進行し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めてしまいます。
皮膚に脂肪が沈着し⻩色腫と呼ばれるおできのようなものができることもあります。中には甲状腺機能の異常や、遺伝的因子により脂質異常症が現れることもあります。
病気を防ぐには、毎日の食事や運動に気をつけることと、健康診断などで「脂質異常症の疑いがある」といわれたときは、放置せずに早めに受診するようにしてください。

高尿酸血症

高尿酸血症とは?

⾼尿酸⾎症は痛⾵の原因となるもので、⽂字通り「⾵があたっただけでも痛い」という症状を起こします。痛⾵は尿酸が体にたまり、それが結晶となることで、⾜の親ゆびの付け根が腫れて痛くなる病気です。時に膝や腰、ひじや肩に痛みが出ることもあります。歴史は古く、エジプトから発⾒されたミイラの関節に尿酸の結晶を認めています。⼀⽅で⽇本では明治以前には痛⾵はなかったとされており、⾷事の欧⽶化、動物性蛋⽩質の摂取増加、飲酒量の増加などが原因とされています。

高尿酸血症の対策

対策としては、痛⾵発作の原因となる⾼尿酸⾎症の治療が⼤切です。飲酒量は適切にし、プリン体の摂取を控える。⽔分をしっかりとる。尿をアルカリ性に保つなどが有効です。
⾼尿酸⾎症は痛⾵発作の原因になるだけではなく、動脈硬化を促進させ、脳卒中や⼼筋梗塞の危険因⼦にもなりますので注意が必要です。⾁、卵、アルコール、さらにアルコールのつまみ類、チョコレートやナッツ類、これらが尿酸を⾼くします。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群とは、気道の閉塞などが原因で、睡眠中に何回も呼吸が⽌まる病気です。睡眠の質が悪くなるため、⽇中眠気が突然襲ってきて交通事故などにつながり、社会的にも問題になった疾患です。肥満体型で、いびきをよくかく⽅に多いです。

睡眠時無呼吸症候群の検査・治療

睡眠中どのくらい息が⽌まるか、呼吸の浅い時間があるかを簡単な検査で調べることができ、睡眠時無呼吸症候群の重症度を判定し、それに応じて治療⽅針が決定されます。治療により、⽇中の眠気や倦怠感が改善するだけでなく、⾼⾎圧や死に⾄る危険な⼼疾患のリスクを減らすことにもつながります。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)とは?

以前は肺気腫とも言われていましたが、現在は慢性気管支炎と合わせ、COPDと呼ぶようになっています。COPDの一番の原因は喫煙です。タバコの煙の中には多くの有害物質が含まれており、これを吸い込むことにより肺胞が傷つき、ガス交換ができなくなってしまうのです。現在3大死亡原因は、悪性腫瘍(癌)、心疾患、脳卒中ですが、将来COPDが上位に入ってくると言われています。
症状は労作時の呼吸困難や慢性的な咳や痰で、胸部レントゲンや肺機能検査により診断します。治療としては、喫煙されている方はまず禁煙。そして重症度に応じて、吸入などの治療を行います。

当院へのお問い合わせやご質問、ご相談など
ございましたらご連絡ください。

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