生活習慣病について。血圧が高い、コレステロールが高い、動悸など、循環器内科をはじめ、糖尿病など治療しております。























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生活習慣病・健康コラム


 ホスピタリティについて

「病院」を意味する「ホスピタル」。その語源である「ホスピタリティ」についてのお話です。
「ホスピタリティ」はラテン語の「ホスピス」からきているといわれ、旅人を積極的に保護するという意味があるのだそうです。医療に携わるものは、この「ホスピタリティ」の精神が大切で、学生時代さらには医療の現場で、その精神が養われていきます。患者さんや困っている人に寄り添う気持ちが「ホスピタリティ」にはあり、単なるサービスではなく、そこに心がこもって初めて「ホスピタリティ」になります。
これは医療の世界だけの話ではなく、一般の会社にも言えることだと思います。お客様への対応はもちろん、社内での人と人との関係も「ホスピタリティ」が大切でしょう。
「顧客満足度」というものがあります。商売などで、この「顧客満足度」を高めることで、お店を繁盛させようという考えです。しかし、従業員が仕事に対し満足していなければ、お客様が満足できるような状況になるとは考えにくく、「顧客満足度」を高めるには、まずは「従業員満足度」を高める必要があります。「ホスピタリティ」の精神はすべての人に対し効力を発揮するし、「ホスピタリティ」を追求する上で、従業員が一致団結することもできるでしょう。
今年の流行語大賞の候補に躍り出た「おもてなし」ですが、まさしく、「ホスピタリティ」を日本語訳した場合に、「おもてなし」というのはかなり近いのではないかと思います。
これからは「おもてなし」が世界共通語になるかもしれませんね。

                                      平成25年11月

 AGEs(終末糖化産物)について

今回はちょっと耳慣れない物質のお話です。
「AGEs」って聞いたことありますか?これはAdvanced Glycation End Productsの略で、日本語では「終末糖化産物」といわれます。これは体の中のさまざまな蛋白に糖が付着し異常を起こした物質で、体内で悪影響をおよぼし、老化現象を起こす物質のひとつとして注目を浴びるようになりました。糖尿病では体内の糖が高いために、このAGEsが蓄積されやすく、糖尿病の合併症の発生にも関連しているのではないかといわれています。
AGEsはこれまで、高血糖や加齢に伴い、徐々に体内で作り出されているもの考えられていましたが、最近の研究では、口から摂取したもの由来のAGEsも存在することがわかってきました。食品の高温加熱調理で新たなAGEsの生成が加速され、調理前より10〜100倍に増えたり、食品に含まれるAGEsは消化の過程で分解されますが、10%は体内にとどまるとのことです。
AGEsは糖の過剰摂取、運動不足、喫煙により産生がすすみ、動脈硬化や老化、アルツハイマー病などに関与しているとされています。体内にAGEsをためないためには、カロリー制限、運動、禁煙のほかに、ファストフードを食べない、野菜や果物を多くとる、ゆっくり食事を摂取するなどがいわれています。
AGEsは測定することもできますが、現時点ではまだまだ普及していません。近い将来、ドックなどで測定できるようになるかもしれませんね。

                                      平成25年10月

 ボイジャー1号

今回は健康とは違うお話ですが・・・
先日NASAは1977年に打ち上げた探査船「ボイジャー1号」が昨年8月に太陽圏を脱出したことを確認したと発表しました。その報道を聞いて、私は小学生のころ星に興味を持ち、ボイジャーの魅力に取りつかれていたことを思い出しました。
今回の報道にも取り上げられていましたが、ボイジャー1号には金色のレコードが積まれており、異星人に出会った時のために、世界の言語であいさつが記録され、地球の位置も示されています。
「異星人は本当に存在するのか?」子供は誰もがもつ疑問ですが、大人たちは「可能性は否定できないけど、まあ空想の世界だね。テレビの見すぎ」と、相手にされない場合が多いと思います。そんな中、NASAでは本気で異星人の存在を考え、地球人の存在を示そうとしているところに大いなる魅力を感じたものでした。
今回の報道では出ていなかったので記憶が定かではないのですが、確か別の資料として、ボイジャーの絵を示し、その横に男性と女性の絵を描いているものもあったように思います。もちろん地球人を描いているので、男性も女性も裸で、ボイジャーと一緒に描くことでヒトの大きさがわかるという理由だったと思います。
なんか、ずっと忘れていた、子供のころの純粋なワクワクする心を取り戻さなくちゃと思う今日この頃です。

                                      平成25年9月

 逆流性食道炎について

食道と胃のつなぎめの部分は、胃の内容物が逆流しないように適度に閉まっているのが普通なのですが、加齢などによりその閉まりが弱くなり、胃の内容物や胃酸が食道側に逆流して、食道の粘膜を傷つけてしまうのが逆流性食道炎です。胃酸は大変酸性が強く、胃の粘膜は酸への耐性がありますが、食道の粘膜は酸に対し弱く、簡単に傷ついてしまうのです。
典型的な症状は、胸やけや胃酸が上がってくる感じ、のどのつかえる感じがあります。中には胸の痛みを訴えられることもあり、胸痛を主訴に来院された場合、狭心症などの心臓の病気や肺、大動脈の病気をチェックしていきながら、常に逆流性食道炎の可能性はないのか念頭に入れながら診察します。
診断は胃カメラにて食道のただれを認めれば確定しますが、胃カメラの所見が正常でも、逆流性食道炎が存在し症状が出る場合もしばしばあり、症状を優先に治療します。治療としては、内服薬があり、これはよく効きます。また、食後すぐに寝転ばない、禁煙するなど、生活の中でも対処する必要があります。
最近、逆流性食道炎が原因で、咳が出たり、不眠になったりするということもわかってきて、咳や不眠が治療によっても改善しない場合は、この逆流性食道炎の可能性も考えてみる必要があるかもしれません。
                                      平成25年8月

 熱中症について

今年も暑すぎます。熱中症の季節となりました。これは高温の環境下で体温調整が破たんし発症する病気で、症状はめまいや気分不良、さらにひどくなると意識障害をきたします。予防としては、
@直射日光を避けるー帽子や日傘を用いましょう。
A服装は涼しい格好で。まさしくクールビズ、さらにはスーパークールビズで。
Bこまめに水分補給をしましょう。
C体調の悪い時には無理をしないように。
水分摂取についてですが、食事をきちんととれている人は、スポーツドリンクではなく水やお茶で十分です。スポーツドリンクには塩分が多く含まれており、高血圧の人や御高齢のかたでは血圧が上昇してしまいます。日本人は1日約12gの塩分をすでに摂取しており、熱中症予防として塩分を追加で取る必要はありません。炎天下での作業や運動で大量の汗をかいたという場合はスポーツドリンクでもよいのですが、それ以外の状況で、食事を普通に食べれている人は、熱中症予防としてスポーツドリンクではなく、水やお茶を飲むということを心がけましょう。
もし炎天下で体調を崩した人を見かけたときは、「あわてるな、されど急ごう救急処置」です。重症度の判定は意識がしっかりしているかどうかです。意識がもうろうとしている場合はすぐ救急車を要請しましょう。そして救急車が到着するまでに、体を冷やすことに努めます。日かげなど涼しい場所に移し、体に水をかけうちわで扇ぎます。気化熱を利用して体を冷やしましょう。
                                      平成25年7月

 むくみについて

人体の約60%は、水でできています。細胞の中、血液、リンパ液などに含まれていて、筋肉の動き、血管の圧力などによって運ばれ、体の中を絶えず流れています。その流れが滞ってしまうと、余分な水分が皮膚の下に過剰にしみだしてくる。この状態が、むくみです。
【むくみを引き起こす原因】
<塩分のとり過ぎ>代表的なものとして、塩分のとり過ぎが挙げられます。細胞の水分は、ナトリウムとカリウムで保たれていますが、塩分をとり過ぎるとナトリウムが過剰になり、体内に水分が溜まりやすくなるため、むくみにつながってしまいます。
<立ちっぱなし、座りっぱなし>デスクワークや立ち仕事など、同じ姿勢が続くことも、足のむくみの原因になります。水分は重力によって下へ下へと下がっていきます。
【むくみ対策】
<減塩>むくみの諸悪の根源であるナトリウム。塩分を控えましょう。
<カリウムを多くとる>体のナトリウムはカリウムによって体外に排泄されます。ですからカリウムを多くとることは、むくみ改善につながります。カリウムを多く含む食べ物として、野菜、海藻類、果物があります。
<足湯>むくみの原因として足の血流が悪いことがあり、その対策として足湯が効果的です。少し熱めのお湯を入れ、10〜20分くらい両足をつけて温めましょう。
<足枕>足を頭より少し高くして寝ると、重力によってリンパ液が足先から体の方へ上がっていきます。
<運動>足の筋肉を動かすことにより、マッスルポンプ機能が働いて、下にたまった水分を上にあげてくれます。足首の運動や屈伸運動をするとよいでしょう。
【病的なむくみ】
肝臓、腎臓、心臓の機能障害や甲状腺のホルモンバランスの異常などでもむくみが出ます。むくみが改善せず持続するようなら、病院でチェックをうけましょう。女性に多い病気で注意を要するのが、足に血管のこぶのような盛り上がりやクモの巣のような細い血管が見られる下肢静脈瘤。静脈瘤があると血流が滞りやすくなるのでむくみにつながります。もうひとつ、頻度は少ないですが、経口避妊薬・ピルの副作用として、下肢静脈血栓症が発生した場合、むくみが出ることがあります。むくみが続き病院を受診する場合、ピルを内服されているかたはそのことを医師に伝えることをおすすめします。

                                      平成25年6月

 電気自動車とペースメーカ

今回は電気自動車の充電器の電磁波による植込み型心臓ペースメーカ等への影響についてのお話です。
電気自動車の充電器から発生する電磁波により、植込み型心臓ペースメーカ及び除細動機能なし植込み型両心室ペーシングパルスジェネレータ(以下「心臓ペースメーカ等」という)において、作動異常の発生が認められたと経済産業省および厚生労働省より報告されました。
心臓ペースメーカ等を使用されている方は、以下の点にご注意ください。
1)電気自動車の急速充電器は使用しないこと。
2)急速充電器を設置している場所には、可能な限り近づかないこと。
  なお、不用意に近づいた場合には、立ち止まらず速やかに離れること。
3)電気自動車の普通充電器を使用する場合、充電中は充電スタンドや充電ケーブルに密着するような姿勢はとらないこと。
そもそも充電器には自宅で使う普通充電器と、高速道路のサービスエリアなどに設置されている急速充電器があるのですね。ということは、電気自動車に乗る人に限った話ではなく、心臓ペースメーカを植込んだみんなが知っておかなければならない話ということになりますね。
                                      平成25年5月

 心房細動について

今回は心房細動という不整脈についてのお話です。
心房細動は他の不整脈とは違い、脳梗塞を引き起こす危険性のある不整脈で、ジャイアンツの長嶋元監督が、心房細動が原因で脳梗塞になったことでも知られています。
ですから心房細動に対する治療としては、その不整脈を元にもどすと同時に、脳梗塞を予防する治療が必要となります。脳梗塞予防として使われてきた薬剤がワーファリンという薬です。納豆を食べるとワーファリンが効かなくなるので、ワーファリン投与中のかたは納豆を食べてはいけないと指導します。
長年、心房細動の脳梗塞予防につかう抗凝固療法薬はワーファリンしかなかったのですが、最近あらたな抗凝固療法薬が登場しました。この新しい薬は脳梗塞予防がワーファリンと同程度かあるいはそれ以上で、さらに脳出血といった重篤な副作用がおよそ半分という画期的な薬剤です。副作用が少ない分、使いやすくなったといえるでしょう。この薬の場合は納豆も食べられます。世界的にもワーファリン独壇場だったところが、しだいに新しい抗凝固療法薬のシェアが増えてきているようです。ただこの新しい薬にも難点があり、腎臓の悪い人には注意が必要だったり、価格がちょっと高価であったりします。
心房細動は今後も増加してくる疾患と考えられており、検診で心電図異常を指摘されたら、放置しないよう注意しましょう。
                                      平成25年4月

 今、話題のPM2.5について

PM2.5とは、大気中に浮遊している2.5μm以下の小さな粒子のことで、非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺がん、呼吸器系の疾患に加え、循環器系への影響が懸念されています。PM2.5は物の燃焼で発生したり、大気中での化学反応により粒子化したものがあります。環境省は平成25年2月、「注意喚起のための暫定的な指針」を示しました。それによると、環境基準は35μg/m3以下(以下単位省略)。70を超えるときには、不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らすこととしています。ちなみにひどいときの北京市の濃度は400以上になるそうです。
さて、このPM2.5の問題を考える時、健康コラムとしてはどうしてもタバコの問題を取り上げる必要があります。じつは、タバコの煙もPM2.5なのです。特に副流煙に多く含まれています。
タバコによる身近な環境のPM2.5濃度は、「完全には分煙できていない居酒屋の禁煙席=336」、「自由に喫煙できる居酒屋=568」で中国政府が「最悪」と評した時の北京市内の大気とほぼ同じ水準、「タクシーの車内でひとりが喫煙した時=約1000」と、ショッキングな数字が並びます。
ご存じのとおり、タバコには多くの発がん性物質や有害物質も含まれており、医療関係者が「大気の心配よりタバコの煙を心配すべき」というのもうなずけます。
中国からのPM2.5の動向には今後も注意し、各地のPM2.5速報値などを見て行く必要があるでしょうが、それと同様にタバコ対策も考えていく必要があります。

                                      平成25年3月

 高血圧治療ー降圧の質を問う

先輩の外科系医師が、「高血圧の治療は簡単よ、高血圧の薬を処方しておけば、血圧はさがるけえ」と言われたことがありました。生活習慣病治療を専門とする私としては、これが高血圧治療の現状かとがっかりしました。
高血圧の治療は単純に血圧を下げればよいというものではありません。
患者さんの基礎疾患や年齢によって、降圧目標値は異なるし、その目標値にまでどのくらいの時間をかけて下げていくのかを考えたりします。さらに1日の中での血圧の変動も考え、夜間寝ている時の血圧がしっかりさがるように、朝起床時の血圧の跳ね上がりがないように、24時間の血圧の状況をしっかりコントロールします。高血圧の治療では、その降圧の質が問われるのです。そういう質の良い血圧コントロールをすることで、脳卒中や心筋梗塞の発生するリスクが少なくなることが明らかとなっています。
高血圧の薬もいろいろな種類があり、それらの特性を熟知し、患者さんおひとりおひとりにあったまさしくテーラーメイドの治療を提供しているのと自負を私は持っています。
一方で患者さんに最高の高血圧治療を提供するためには、患者さんにもご協力していただく必要があります。まずひとつは、きちんと内服すること、薬を飲まなければコントロールはできません。二つ目に朝起床時の家庭血圧を測定していただくこと。この朝の血圧がいくらであるかが重要で、これは外来診察時の血圧以上に重要な情報なのです。
先輩の外科系医師に、このような高血圧治療についてお話をしましたが、その先輩は「そんなに細かくやっても、診療報酬は一緒で」といわれました。
お金の問題じゃないでしょ!(怒)

                                      平成25年2月


 インフルエンザ罹患後の出社について

インフルエンザが増えてきました。典型例としては、高熱と関節痛です。しかし37度くらいの微熱のこともあり、インフルエンザと普通の感冒との区別はなかなか困難で、鑑別にはどうしてもインフルエンザの検査が必要となります。鼻粘液を綿棒で採取し、約10分で判定が出ます。「ちょっと風邪気味だけで、熱はほとんどないから大丈夫」と考えず、体調が悪ければ、まずインフルエンザの検査をうけて確認しておこうというくらいがちょうどよいと思います。なお、インフルエンザの検査は発熱後12時間たたないと陽性が出ませんので、発熱早期に検査をうけ陰性だったとしても、インフルエンザではないとはまだ言えないということも念頭にいれておきましょう。
さて、インフルエンザ罹患後の出社について、あらためて確認しておきたいと思います。インフルエンザにかかったのち学校や会社に行ってよいのは、これまで「解熱後48時間以降」とされてきましたが、24年春に「発症後5日後、かつ解熱後48時間以降」と変更になっています。タミフルをはじめインフルエンザの薬はよく効き、内服翌日には解熱することが多いです。ですから、出勤可能かは「発症後5日後」のほうがポイントになることが多いように思います。

                                      平成25年1月

 感染性腸炎-問題なのはノロウイルスだけではない

この冬はノロウイルスの大流行で、報道でもずいぶん取り上げられています。ノロウイルスによる感染性腸炎は、ちょっとのウイルス量で発症し、集団発生を起こすため、食中毒の原因としても注目をあびています。
患者の吐物や便、食べ物では貝などを介し感染し、激しい下痢や嘔吐をきたします。予防はトイレのあとや食事前の石鹸を使った手洗いと、塩素系消毒薬での拭き掃除です。指輪をはずし、指の間までしっかり手洗いしましょう。ドアノブや水道の蛇口などを介して手から手へ感染していくので、次亜塩素酸ナトリウムの溶液(キッチンハイターなど)をうすめた液を雑巾でしぼり、しっかり拭き掃除しましょう。掃除のあと、「このにおいは病院のにおいだね」と感じたらOKでしょう。カキなどの二枚貝を食べる時はしっかり加熱しましょう。
下痢、嘔吐をきたす感染性腸炎の原因としては、ノロウイルスだけではなく、ロタウイルス、O157、キャンピロバクター、サルモネラなどいろいろあります。治療は基本的には一緒で、対処療法が中心となり、細菌に対し抗生剤を処方します。ノロウイルス自体に有効な薬はなく、脱水対策として水分をしっかりとることが大切です。下痢止めは原因ウイルスや細菌を体内にとどめてしまうため、使用には十分な注意が必要です。っていうか、よっぽどのことがない限り、私は処方しません。
下痢したとき、「これはノロでしょうか」と聞かれます。ノロウイルスかどうか便を使って検査する簡易キットがありますが、3歳未満の乳幼児と高齢者にしか保険適応がなく、仕事をされている年代のかたには検査できません。ノロウイルスは怖く、他の感染性腸炎は大丈夫というのではなく、いすれも注意すべき疾患であり、ノロウイルスであろうが、他の感染性腸炎であろうが、人にうつるものであり、治療や予防対策は一緒です。

                                      平成24年12月

 乳幼児突然症候群について

乳幼児突然死症候群は、それまで元気だった赤ちゃんが、眠っている間に突然死亡してしまう病気です。日本ではおよそ出生6000から7000人に1人と推定され、生後2ヵ月から6ヵ月に多いとされています。乳幼児突然死症候群の原因はまだよくわかっていませんが、男児、早産児、低出生体重児、冬季、早朝から午前中に多いことや、うつぶせ寝や両親の喫煙、人工栄養児で多いことがわかっています。
以下の育児習慣などに注意することで、発生の軽減が期待されています。
@ うつぶせ寝は避ける:医学上の理由でうつぶせ寝をすすめられている場合以外は、赤ちゃんの顔が見える向きである、あおむけで寝かせましょう。欧米ではあおむけ寝のキャンペーンを行ない、乳幼児突然死症候群の発生が減少したそうです。
A タバコはやめる:両親がともに喫煙する場合、両親がともに喫煙しない場合に比べて、乳幼児突然死症候群の発生が約4.7倍になると報告されています。妊婦の喫煙はもちろん、受動喫煙も影響しますので注意が必要です。
B できるだけ母乳で育てましょう:母乳で育てられている赤ちゃんは人工乳で育てられている赤ちゃんに比べ乳幼児突然死症候群の発生が少ないと報告されています。人工乳が乳幼児突然死症候群をおこすわけではありませんが、赤ちゃんが喜んで母乳を飲むのならできるだけ母乳を与えましょう。
厚生労働省は毎年11月を「乳幼児突然死症候群の対策強化月間」と定め、上記のような予防の啓発に取り組んでいます。

                                      平成24年11月

 iPS細胞の意味するところ

男性と女性が愛し合い誕生する受精卵。そのたったひとつの細胞である受精卵が、何度も分裂して我々人間を形成していきます。ある部分は骨となり、ある部分は筋肉となり、ある部分は神経となっていきます。
どうして目はふたつあるの?それはふたつあることで立体的に認識でき、距離が正確にわかるようになるから。どうして肋骨は細い骨が何本もあるの?それは先端が軟骨と胸骨でつながり胸郭を形作り、上下に動くことができることで肺に空気をいれるから。よろいのようにかたまって動けないと、肺には空気が入らない。解剖学を勉強した学生時代、どうしてこの神経はここを走っているのか、どうしてここにこういう筋肉があるのか、人間の体があらゆるところで理にかなった状態になっていることがわかると、「いったい誰がこのような構造を考えたんだろう」という疑問が出てきます。そして答えはもう「神」しかないように思いました。
その人間の体を形作る最初の細胞であるひとつの受精卵は、まさしく神しかつくれないと感じるような神秘的な万能細胞です。その万能な受精卵を誕生させれるのは、男性と女性の愛情だけ・・・
しかし今、さまざまな細胞に変化していけるその受精卵と同じような機能をもった万能細胞がひとの手により作り出されました。それがiPS細胞です。
このiPS細胞を使い、神経や筋肉や臓器をつくって移植することで病気の治療ができたり、難病患者さんからの細胞でiPS細胞をつくり解析することで、難病の原因がつきとめられたりと、iPS細胞の貢献する可能性が多いに期待されています。
一方で倫理的な課題も残っています。
iPS細胞の培養に成功したのが2007年。2011年には京都大学でマウスのiPS細胞から精子をつくり、その精子で受精、出産にも成功。今年2012年には同じく京都大学でiPS細胞からマウスの卵子もつくられ、出産にも成功。iPS細胞の研究は世界中で一気に進んでいます。次はどうなるの?ルパン三世にでてきたクローン人間がアニメではなく実際に可能となるの?どこまで許されどこからが許されないのか。世論の話し合いが活発にならないと、研究だけが独り歩きしてしまいます。
山中教授のノーベル賞受賞で一気に注目されるようになったiPS細胞ですが、報道での医学用語の多い説明ではいったいどういう細胞かわかりにくいように思い、コラムに取り上げてみました。iPS細胞の意味するところがちょっとでもわかりやすく伝われば幸いなのですが。

                                      平成24年10月

 ひとはどうして「寝違える」のか

朝、「よく寝たー」と背伸びしたとたん、首の後ろのところが、バキバキと・・・
「寝違えたー」と思っても、もう遅い。その日は一日、首が回らなくなってしまうということが、時々ありますよね。
ひとはどうして「寝違える」のでしょうか。これは寝ている間に、何らかの原因で、頸椎に軽い炎症が起こってしまうためだといわれています。「寝違え」のメカニズムはまだよくわかっていませんが、寝ている間に無理な姿勢を長時間続けてしまうことが多いようです。よくあるパターンとしては、深酒をしてしまい、寝返りをうたなくなってしまった時や、枕が自分に合っていない時によく寝違えるようです。
そこで、寝違えの予防としては、
@泥酔しないよう、深酒を避けること。
A自分にあった枕を持つこと
と、いえるでしょう。
仰向けに寝たときの理想的は形とは、立った時と同じ自然な形の首のカーブを描くことだといわれています。首を持ち上げることなく、逆に頭が下がりすぎることなく、首すじに力が入らない、自分にあった枕を準備しましょう。

                                      平成24年9月

 風疹について

最近関東や関西を中心に、成人男性の流行が認められている風疹についてです。
風疹は三日ばしかとも言われ、2〜3週間の潜伏期ののち、発熱、小さな発疹、リンパ節のはれといった症状を呈します。一度かかるとほとんどの人は生涯かかることはありません。発疹の出る2,3日前から発疹が出た5日くらいの間に感染性があると考えられています。子供の風疹に比べ大人の風疹は症状が強い場合があり、1週間くらい休まなければならないこともあります。現在は1歳時と小学校入学前に男女とも予防接種をうけますが、以前は中学生女子のみの予防接種であったことが、現在の成人男性の流行と何らかの関連があるのかもとも言われています。妊娠初期の妊婦が風疹にかかると、赤ちゃんに障害が残る場合があり、注意を要します。
事業所での集団感染も最近報告されており、風邪症状に発疹を伴ったときは頭にいれておかなければならない疾患です。
                                      平成24年8月

メタボリックシンドロームについて

メタボという言葉を知らない人はいないくらい、いまや一般的になったメタボリック症候群ですが、では「メタボっていったい何?」と質問すると、「腹囲が85cm以上の人」と答えるかたが多いのではないでしょうか。その答えは不正解です。
今回のコラムではメタボリック症候群の診断基準を今一度復習したいと思います。
診断は必須項目ひとつにさらに選択項目の3つのうちふたつが該当した場合、メタボリック症候群と診断します。

必須項目:ウエスト周囲径が男性の場合85cm以上、女性の場合90cm以上
かつ
選択項目(以下の3つのうち2つ該当)
@高トリグリセリド血症(高中性脂肪血症)150r/dl以上
  かつ/または
  低HDLコレステロール血症40r/dl未満
A収縮期血圧130mmHg以上
  かつ/または
  拡張期血圧85 mmHg以上
B空腹時高血糖110r/dl以上

メタボの診断ってウエストだけではないんです。肥満がある人に、さらに高脂血症や高血圧、糖尿病が加わると脳卒中や心筋梗塞のリスクが高まるので、リスクの重積を避けようとするための概念なんです。
検診やドックで「血圧がちょっとだけ高かったけど、ちょっとだけだから大丈夫」とか「中性脂肪が高かったけど、上限をちょっとはずれただけだから大丈夫」など、そのちょっとちょっとの重なりが脳卒中や心筋梗塞につながるのです。検診が生活習慣病を改善させる動機づけになればと思います。
                                      平成24年7月

 熱中症について

地球温暖化の影響もあるのか最近増加している熱中症。これは高温の環境下で体温調整が破たんし発症する病気で、症状はめまいや気分不良、さらにひどくなると意識障害をきたします。予防としては、
@直射日光を避けるー帽子や日傘を用いましょう。
A服装は涼しい格好で。まさしくクールビズがいいです。
Bこまめに水分補給をしましょう。
C体調の悪い時には無理をしないように。
水分摂取についてですが、食事をきちんととれている人は、スポーツドリンクではなく水やお茶で十分です。スポーツドリンクには塩分が多く含まれており、高血圧の人や御高齢のかたでは血圧が上昇してしまいます。日本人は1日約12gの塩分をすでに摂取しており、熱中症予防として塩分を追加で取る必要はありません。食事を普通に食べれている人は、熱中症予防としてスポーツドリンクではなく、水やお茶を飲むということを心がけましょう。
もし炎天下で体調を崩した人を見かけたときは、「あわてるな、されど急ごう救急処置」です。重症度の判定は意識がしっかりしているかどうかです。意識がもうろうとしている場合はすぐ救急車を要請しましょう。そして救急車が到着するまでに、体を冷やすことに努めます。日かげなど涼しい場所に移し、体に水をかけうちわで扇ぎます。気化熱を利用して体を冷やしましょう。

                                      平成24年6月

 食中毒予防の三大原則

食中毒の発生しやすい季節になりました。食中毒を予防するための3大原則は、@つけない(清潔)、Aふやさない(迅速、冷却、乾燥)、Bやっつける(加熱)です。
@つけない(清潔)
食中毒の原因となる細菌やウイルスは食べ物と一緒に口から入ってきます。ですからまな板や包丁を清潔に保ち、調理や食事の時は石けんでしっかり手洗いすることが大切です。石けんでの手洗いはインフルエンザ予防にも共通します。
Aふやさない(迅速、冷却、乾燥)
食材を冷蔵・冷凍することは細菌などの増殖を抑えるのに効果的ですが、冷蔵庫の過信は禁物です。新鮮なものを新鮮なうちに食すことを心掛けましょう。
Bやっつける(加熱)
細菌を死滅させるのに最も効果的な方法は加熱することです。食中毒でしばしば取り上げられるノロウイルスやO157なども加熱(75〜85℃以上で1分間加熱)によりやっつけることができます。
                                      平成24年5月

 咳喘息(せきぜんそく)について

最近はこの病名もちょっとは知られるようになってきました。乾いた咳が長いと何ヶ月も続くという病気で、感冒がきっかけになったり、花粉症や黄砂がきっかけになったりすることもあります。4月中旬以降は黄砂によるものが増えている印象で、今年は黄砂が猛威をふるうとの予測で、咳喘息も今後さらに増加するのではないでしょうか。
咳が夜に多い人や昼間に多い人などさまざまなパターンがありますが、夜、咳が出て寝れないとか、咳で目が覚める、昼間のタイプでは咳が出ると話ができなくなり仕事にならないなど、いったん咳が出だすと強い咳が続くのが特徴です。通常のカゼ薬や咳止めは効きません。喘息の時に使う気管支拡張剤や吸入ステロイドを使って治療します。
咳喘息のうち3人にひとりは気管支喘息に移行することもわかっており、咳がおさまってもしばらく治療を継続する必要があります。咳が続く人はカゼがなかなかなおらないと放置するのではなく、医院や病院で診察をうけることをおすすめします。

                                     平成24年4月

 魔女が転ばないのはなぜ?

いきなりの問題です。表題のごとく、「魔女が転ばないのはなぜ?」
まじめに考えたり、とんちをきかせたり・・・
答え
「つえを持っているから」「転ばぬ先のつえ」と答えた方。・・・おしい!!
そういう柔らか頭の発想の答えは大好きです。

ここからちょっとまじめな「転倒防止」のお話です。最近高齢者の転倒が多く、厚生労働省の報告では自宅での転倒により毎年2000人以上が亡くなっているとのことです。高齢者では骨がもろくなっているため、骨折が重症化したり、転倒をきっかけに寝たきりになったりと問題が大きくなっています。
では転倒を防止するにはどうしたらよいのでしょうか。高齢者は筋力が低下し、思ったほど足が上がらず、つま先がつまづくことが転倒の原因となっています。ですから、つま先を頭側へ「そる」ような形になれば、つま先が物にひっかかることなく、すり足になっても、つまづかなくなります。最近はつま先を頭側にそらせる靴下が開発され、転倒防止効果を示しているようです。
最初の問題、「魔女が転ばないのはなぜ?」
答えは、「つま先が頭側に反った靴を履いているから」です。
                                      平成24年3月

 インフルエンザ罹患後の登校・出社について

インフルエンザが猛威をふるっています。インフルエンザの症状の特徴は高い発熱ですが、今年のインフルエンザは典型的な症状でない場合がかなり多く見られます。発熱が37度前後の場合や、熱はないのにちょっと下痢気味といった腸炎の症状で、念のためインフルエンザの検査をしたら陽性で、インフルエンザと診断される場合がけっこうあります。ですから、「ちょっと風邪気味だけで、熱はほとんどないから大丈夫」と考えず、体調が悪ければ、まずインフルエンザの検査をうけて確認しておこうというくらいがちょうどよいと思います。
さて、インフルエンザにかかったのち学校や会社に行ってよいのは、これまで「解熱後48時間以降」とされてきましたが、4月からは「発症後5日を経過し、かつ解熱後48時間以降」と変更になります。昔はインフルエンザに有効な薬がなく、インフルエンザになると1週間くらい熱が続き休まなければなりませんでした。しかしタミフルというよく効く薬が登場してからは、内服翌日には解熱し元気になってくるため、まだ感染性がある状態での登校・出社が問題になっていました。典型的な症状でないインフルエンザもあることから、5日間しっかり休んだほうがその後の感染対策にも有用かもしれません。

                                      平成24年2月

 リスクマネージメント

今回は健康の話とはちょっと離れ、リスクマネージメントのお話です。
報道などで御存じのとおり医療の現場ではさまざまなヒヤリとするケースがあり、それが積み重なり大きな医療事故につながる危険性があります。事故をおこさないために、ちょっとした小さなヒヤリとする事例も見逃すことなく、そのヒヤリとした事例に対しどのように適切に対処すべきか・どうやって防止していくかを検討していくことが大切で、当クリニックではインシデント報告(ヒヤリとした事例の報告)という取り組みを行っています。全国の報告ではインシデントの中で最も多いのが、薬の投薬に関することといわれています。
投薬間違いをなくすために行われているのが、ふたりの人で薬を確認するというダブルチェックです。当クリニックでは医師も含め3人でチェックするトリプルチェックを行い、患者さんへの投薬間違いのないようにしています。チェックをする人数を増やすことで間違いをさらになくそうとしているわけですが、重要なのは人数ではなく、チェックするときの心構えだと考えています。「自分はミスをしない」と傲慢な気持ちになっていると危ない。ですから、「人間は必ずミスをするもの、あなたのミスは私が必ず見つけてあげる。だから私のミスも必ずあなた見つけてね」というお互いをサポートしようとする気持ちが大切だとスタッフに常に言っています。忙しくなればなるほどミスが起こりやすくなります。ですから忙しい時ほど、お互いをサポートする気持ちを忘れないように意識しています。

                                      平成24年1月

 CKD(慢性腎臓病)とeGFR(推算糸球体濾過量)について

腎臓は背中の左右にひとつずつある握りこぶし大のソラマメのような形の臓器で、体の老廃物を尿として体外に排泄したり、体の電解質バランスを調整したりする重要なまさしく「肝腎かなめ(本当は肝心かなめ)」の臓器です。その腎臓が慢性的に悪くなった状態がCKDで近年透析患者さんが増加していることもあり注目をあびている疾患です。
CKDの診断は
@タンパク尿などの尿異常や血液検査・病理検査で腎障害が明らかな状態
Aクレアチニンから算出された糸球体濾過量(eGFR)が60未満の状態
です。
最近ドックなどで見かけるようになったeGFRはここに関連してくるのです。
これまで腎臓が正常かどうかは尿蛋白の有無やクレアチニンの値により判断していましたが、これからはこのeGFRが重要となり、「クレアチニンが正常範囲でもeGFRが異常と判定される場合」があり、腎機能障害の出現をよりはやく見つけ出そうとしています。
ドックなどでこのeGFRが低下し異常と判定された場合は、まずは食事療法として減塩に取り組みましょう。そして血液検査でeGFRの再検フォローをおすすめします。

                                      平成23年12月

 マイコプラズマ肺炎について

皇室の愛子さまの御入院で注目をあびたマイコプラズマ肺炎ですが、これは小児から若年成人に多い感染症で、今年は広島でもかなり流行しています。
もともとオリンピックのある年の4年に1回流行があるといわれていましたが、最近は毎年秋から冬にかけ結構はやっているように感じます。発熱と咳が主な症状で感冒とよく似ていますが、マイコプラズマは強く長引く咳が特徴です。血液検査にて診断がつきます。治療は市販の感冒薬は無効で、抗生物質の内服が必要になります。近年抗生剤が効きにくい耐性のあるマイコプラズマが増えているとの報告もありますが、臨床的にはまだよく効いているようです。早期診断、早期治療が大切ですので、咳が続くときははやめの受診をおすすめします。

                                      平成23年11月

 インフルエンザ予防接種について

今年もインフルエンザの季節になってきました。すでにインフルエンザが流行し始め、例年よりはやい印象です。インフルエンザ予防には体調を整え、手洗いとうがい、そして咳が出るときにはマスクです。基本をしっかり守りましょう。
予防接種は昨年と同様に、通常の季節性インフルエンザに対するワクチンと新型インフルエンザに対するワクチンが一緒に混ぜ合わせてつくられていますので、一般成人は1回の接種で対策がとれます。ぜひ予防接種をうけましょう。今年は震災の影響などで、注射薬の供給量が少なく、はやめの接種をお勧めします。

                                      平成23年10月

 食後過血糖(食後の血糖上昇が異常に高くなる状態)について

糖尿病についてのお話です。糖尿病は年々増加の一途をたどっており、透析導入の原因疾患としても第一位となっています。健康診断で糖尿病をスクリーニングする検査項目としては、「血糖」「尿糖」があり、最近ではHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という指標も用いられています。しかし糖尿病をできるだけ早期の段階で発見しようとした場合、これらの指標だけではじつは十分とはいえないのです。
血糖というのは空腹時には80〜100くらいで、食後150くらいになり、またおなかがすくころには100レベルにもどります。正常の人がだんだん糖尿病の状態になるときに、空腹時の血糖がまずあがるのではなく、食後の血糖がまず高くなるのです。食後の血糖上昇が普通の人以上に高くなってきて(食後過血糖)から、その後、しだいに空腹時血糖の上昇やHbA1cの上昇が出てきます。
ですから一般には採血といえば空腹時に施行するのですが、クリニックで糖尿病の状況をみるため、食後の血糖もチェックしたりします。最近は食後過血糖をみる指標として「1.5AG」という項目もあり保険適応で検査をうけることもできます。

                                      平成23年9月

 検診で血圧がちょっと高めといわれたかたへ

今回は高血圧のお話です。検診やドックの結果がかえってきて、血圧がちょっと高めのかたもいらっしゃるのではないでしょうか。あるいは検診の時、1回目測定した血圧がちょっと高く、2回目にもう一度測ったら下がっていたのでもう安心、だって結果通知書にも血圧については何も書いてなかったもんっていう人、要注意です。検診で高血圧やちょっと高めですねといわれたかたは、ぜひとも家庭血圧を測定してください。検診という状況では緊張して血圧が高くなることはしばしばありますし、逆にたまたま測定値が低く、高血圧が見逃されてしまっていることもあります。そういう場合、ご自宅で血圧を毎日測定し、ご自身の本当の血圧を知ることが重要となります。
家庭用血圧計は電気屋さんにて1万円前後で売っています。いろいろなタイプがありますが、腕に巻き、ボタンひとつで測定できるタイプがおすすめです。指や手首で測定するタイプは血圧値の誤差が大きいので、ご自宅で使う場合は腕タイプがよいです。
測定は起床時に座った状態で深呼吸後に測定しましょう。おしっこをがまんしていると血圧があがるので、トイレに行く場合はトイレ排尿後の測定で結構です。起床時に測定するというのは、朝起きると人間は活動するために交感神経が活発になり血圧が跳ね上がります。これを早朝高血圧というのですが、この血圧のあがる時間帯に心筋梗塞や脳卒中が発生しやすく危険なのです。
秋から冬にかけ、寒くなると血圧は高くなるので、夏場の血圧が正常だったからといって、まだ安心はできません。毎日血圧を測定する習慣を身につけましょう。測定値は上が130以上あるいは下が85以上は高血圧(正常高値)の範疇に入ってきますのでクリニックでご相談ください。

                                      平成23年8月

 おとなも手足口病にご注意を

手足口病はウイルス感染によって起こる病気で、主に夏に流行します。手のひら、足、口の中に水ほう性発疹が出現します。発熱を伴うこともあります。その発生の90%前後が5歳以下の乳幼児に占められ、20歳以上の大人での発生は0.6%と極めて少ないものです(IDWR感染症発生動向調査週報)。ところが今年はすでに数名のおとなの手足口病と思われるかたが来院され、おとなにもこれほど発生するんだと驚いています。確かに子供の手足口病は西日本で大流行しており、その親などに感染したケースがあるようです。通常は子供のころに感染し免疫をつけるのでしょうが、近年公衆衛生環境がよくなり、感染せず免疫のない方が増えているのかもしれません。
感染経路は、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)が知られています。手足口病には予防接種はなく、接触感染の予防として手洗いは流水と石けんで十分に行いましょう。もしご家族に発生したら、タオルの共用はやめましょう。

                                      平成23年7月

 むずむず脚症候群について

むずむず脚症候群(むずむずあししょうこうぐん)についてです。ちょっとヘンな病名で、聞いたことのある方はまだ少ないかもしれませんが、1年前有効な薬が日本でも使えるようになり、徐々に認知も広まってきています。
症状は文字通り、「足がむずむずして寝れない」「足にアリや虫が這うような感じがある」時には「針で刺すように痛い」と痛みを伴ったり、足だけでなく背中などにも症状が出たりします。原因はまだはっきりしていませんが、神経伝達物質のドーパミンの不足や鉄分の不足がいわれています。
治療としては、誘因となるアルコールやカフェインの多量摂取を避けること、禁煙、足のマッサージなどが有効です。さらに上述したように現在「ビ・シフロール錠(一般名:プラミペキソール)」という内服薬があり、結構有効のようです。
日本でも人口の3〜4%に存在するともいわれ、見逃されている場合もあるのではないかと考えられています。もし似たような症状があれば御相談ください。

                                      平成23年6月

 非定型うつ病について

今回は一般的なうつ病とは違った、「非定型うつ病」についてお話します。まず一般的なうつ病は、楽しいことがあっても気分が晴れず、食欲もなくなり、不眠になります。気分の落ち込みは朝に大きいことが多いようです。
一方非定型うつ病では、ブルーな気分はあるものの、楽しいことがあるとそれなりに楽しめます。食事もむしろ過食になり体重が増えたり、睡眠も寝すぎるほど寝てもまだまだ寝たりない感じで、体がどーんと重い感じになります。他人の批判に過敏で、いらいらした気分となりやすく、注意力が散漫になったり仕事のトラブルを起こしたりして、一気に絶望的な気分になったりします。気分の落ち込みは夕方から夜に大きいようです。
非定型うつ病の対策や予防については、まず規則正しい生活を送ることが重要です。朝きちんと起き、3度の食事もきちんととって、できれば仕事にも行き目標をもって生きましょう。

                                      平成23年5月

 インフルエンザはまだまだ続いている

一時の流行はおさまってきたものの、インフルエンザの発生はまだまだ連日続いています。手洗い・うがい、咳の出るときはマスクと、予防の意識は引き続きしっかり持っておきましょう。油断した時が一番危ないですから。
インフルエンザが大流行しているときは、朝、熱があればすぐクリニックを受診されていましたが、最近は、「熱があるけど、仕事を片付けて夕方受診しよう」と夕方来院されるケースがあり、インフルエンザ検査で陽性が判明して、「人にうつしてしまったかもしれない」と驚きととまどいを感じられるかたが結構いらっしゃいます。熱があれば、人との接触は避け、インフルエンザの検査を受けられることをお勧めします。

                                      平成23年4月

 東日本大震災

未曾有の被害で、被災地の一日もはやい復興を、ただただお祈りしております。当院の患者さんの中にも救援ボランティアとして現地に入られたかたが何人かおられ、お話を伺うことがあります。報道では伝えられない生の声は涙なしには聞けません。今自分に何ができるか、何をすべきか・・・医療にたずさわる者として、できる範囲で取り組んでいきたいと思います。

                                      平成23年3月

 花粉症

2月に入り、そろそろ花粉症の季節になってきました。今年は例年の数倍の花粉が飛ぶと言われています。飛ぶぞ飛ぶぞといいながら、2月上旬は寒かったせいかあまり花粉症の症状を訴えるかたは少なかったように思います。しかし2月下旬だんだん暖かくなり、いよいよ花粉症到来の予感です。
花粉症対策としてはまずマスクで予防するということがあります。マスクの装着の仕方も大切で、マスクと皮膚との間に隙間ができないようにする必要があります。特に鼻まわりにしっかり密着するようにマスクをつけましょう。
薬としては、まず内服薬です。アレルギーを抑える薬は大なり小なりちょっと眠気がくるのがデメリットですが、症状の改善・予防を考えると、強力な助っ人になるでしょう。あと点眼薬や点鼻薬があります。点鼻薬は鼻の穴に噴霧するスプレーですが、ステロイド入りの点鼻薬が結構有効です。病院やクリニックで処方してもらうとよいでしょう。

                                      平成23年2月


 当院での禁煙外来の取り組みが「日経産業新聞」に取り上げられました

平成23年1月21日の日経産業新聞に当クリニックが取り上げられました。「医療・介護最前線リポート」というコーナーで、ここでは全国各地で行われている医療のさまざまな取り組みが紹介されています。全国の禁煙外来の成功率が約3割という中で、当院での成功率が9割と著明に高い要因がどこにあるか取材に来られました。
「がまんではなく意識改革の禁煙」やクリニックスタッフ全員で取り組むチーム医療の成果などをご紹介いただきました。
禁煙成功へ導くテクニックはそのまま生活習慣病を改善させるテクニックへとつながります。これまで血圧が高くて内服はするけどなかなか血圧が下がらなかったという患者さんの治療を当院で行うと良好な血圧値になったり、血糖コントロールの悪い糖尿病患者さんが来られて当院で治療すると血糖コントロールがよくなったり、その要因は禁煙成功へ導くテクニックと共通していると考えています。まさしく「意識改革」がキーワードになります。
                                      平成23年1月

 インフルエンザの流行

さあ、ついにインフルエンザが流行してきました。現在流行しているのは、昨年大流行した新型インフルエンザA型です。昨年は子供の流行が目立っていましたが、今年の印象としてはちょっと年代が上がって、20歳代の若い方を中心に流行している感じがします(個人的見解)。
インフルエンザ予防には、手洗いとうがい、そして咳が出るときにはマスクです。基本をしっかり守りましょう。
もしインフルエンザにかかってしまった場合は、病院やクリニックで処方をうけましょう。インフルエンザキットでの検査は、発熱後12時間以上しないとなかなか陽性に出ませんので、熱が出たあとすぐの検査の場合、陰性だったからといってインフルエンザではないとは言えません。
そしてなおってからの出勤は、「解熱後48時間以上たってから」です。熱が下がったからといってすぐに出勤してはいけません。48時間以内はまだ他の人にうつす可能性がありますのでご注意を。
                                      平成22年12月

 「きゅうきゅうしゃ」のお話・・・恥ずかしながら実話です

先日あった私の失敗談をご紹介します。
小学生の娘から「『きゅうきゅうしゃ』ってどう漢字書くか知ってる?」と言われた時の話です。小学生がよく間違えるのは、最初の『きゅう』と2回目の『きゅう』の順番で、急ぐの『急』が2番目になるところがポイント。私の専門領域ですから、「そりゃ、救急車を呼んだり乗ったりしているからわかるよー」と私。「それなら言って」と娘。
私は自信たっぷりに「たすける、いそぐ、それでくるま。いそぐが2番目だ」と答えました・・・・。
娘は大爆笑。私はなぜ笑われているのかすぐにはわかりませんでした。
そう、救急車は「たすける」ではなく「すくう」です。
いまだに娘から「さっき、たすける、いそぐ、くるまが走っていたよ」とからかわれます・・・(涙)
                                      平成22年11月

 インフルエンザ予防接種を開始します

平成22年度のインフルエンザ予防接種を10月1日開始いたしました。
今年からは季節性インフルエンザと新型インフルエンザの両方に対する薬が一緒になったものが開発され、成人は1回の接種で済みます。
一般の方は3150円(新型が追加になっていますが、料金は昨年の季節性インフルエンザと同じで据え置きとしました)、65歳以上の方は自己負担額1000円です。
                                      平成22年10月

 第5回日本禁煙学会で発表してきました

平成22年9月19、20日と、松山で第5回日本禁煙学会学術総会が開催され、クリニックでの禁煙外来の成績を発表してきました。当クリニックでの昨年の禁煙成功率は89.2%で、全国トップレベルの成績でした。成功率が高い理由は、経験に基づく資料作成と、医師・看護師・事務受付のクリニック全スタッフの万全のチームワークです。
10月からタバコが値上げされます。タバコをやめたいと思っておられる方は、禁煙に導けると思います。禁煙外来を受診してください。タバコをやめようと思っていない方は、自分の将来を考えた時、本当にこのままでよいのかを考えてください。誰が何と言おうともタバコを吸い続けると考えておられる方、タバコには受動喫煙がありますから、他の人にタバコの害が及ばないよう屋外で喫煙してください。他人の健康を害する状況での自由は決して認められません。ちなみに、喫煙室をつくり分煙するというのは、受動喫煙を防ぎきれないことが明らかになっています。
                                      平成22年9月

 睡眠と生活習慣病

暑い日が続き、夜もクーラーなしでは寝られないという方も多いかと思います。今回は睡眠と生活習慣病についてお話しましょう。
生活習慣病と言えば高血圧や糖尿病が代表格ですが、一見全く無関係に思える睡眠と生活習慣病、実は密接な関係があるのです。不眠は血圧を上昇させたり、逆に高血圧や糖尿病の人は不眠になりやすいのです。生活習慣病のコントロールが悪いと不眠になり、その不眠が生活習慣病のコントロールを増悪させるという悪循環に陥っていきます。
ですから糖尿病や高血圧のコントロールを考えた時、しっかり規則正しい睡眠をとるということも大切になるのです。
                                      平成22年8月

 ワールドカップの試合のある日には心筋梗塞が増えた(ドイツ)

サッカーのワールドカップ盛り上がっていますね。日本チームもよくがんばってくれました。
さて今回はサッカーワールドカップに関する医学の話題です。ドイツからの報告で、ニューイングランド ジャーナル オブ メディスンという世界最高峰の医学雑誌に掲載された論文を紹介します。
2006年にドイツで開催されたFIFAワールドカップで、ドイツチームの試合のある日にはミュンヘン近郊で急性心筋梗塞(急性心血管イベント)の発生が2.66倍になったというものです。男性で3.26倍、女性は1.82倍でした。4279人の急性心筋梗塞患者で検討され、ワールドカップのない時期に比べ、ドイツチームの試合のある日には心筋梗塞の発生が多く、特に試合開始2時間以内が最も発生率が高かったそうです。この論文では狭心症など心疾患のある男性はしっかり予防的手段を講じておく必要があると結論付けています。(原著論文:New Eng J Med 2008;358:475-483)
サッカーの応援も興奮しすぎると危ないのかもしれません。でも興奮してしまいますよね。日本の試合のあるときは寝不足でした。翌朝は声もかれたし・・・
                                      平成22年7月

 咳喘息について

カゼをひいたあとに咳だけがずっと続き、なかなかカゼがなおらないなあと思っているかたはいらっしゃいませんか。それはカゼがなおらないのではなく、咳喘息になっているからかもしれません。
咳喘息とは慢性的に(場合によれば数ヶ月も)咳が続く気管支の病気で、いろいろな刺激に対して気道が過敏になって、炎症や咳の発作が起こり、時に一般的な喘息へ移行することもある病気です。咳喘息の原因となるものはいろいろあり、大気汚染物質を含んだ黄砂や、アンモニアなどの多くの有害物質を含んだタバコの煙などがあります。最近はカゼをひいたあと気管支に付着している異物を取り除こうとして体が反応することで咳喘息の症状が出ている場合が増えているようです。これが「カゼのあとなかなか咳がおさまらない」というものです。
咳喘息の治療としては吸入ステロイドが有効ですが、使用開始にあたっては注意すべきこともありますので医師にご相談ください。
                                      平成22年6月

 冠動脈CTについて

近年の医療機器の進歩はめざましいものがあります。最近かなり普及し、循環器の一般臨床でも役に立っているのか今回紹介する冠動脈CTでしょう。
心臓は全身に血液を送っていますが、心臓自体も筋肉ですので、心臓の筋肉を養うための血管が必要で、それが心臓の周りに流れている冠動脈というものです。この冠動脈が細くなり血流の悪くなった状態が「狭心症」で、冠動脈が完全につまり、血流が途絶え心臓の筋肉が死んでしまうのが「急性心筋梗塞」です。
この冠動脈に異常があるかどうかを心電図などで検査するわけですが、冠動脈に実際に病変があるかどうかをダイレクトに調べるにはこれまでは心臓カテーテル検査しかなく、これは入院が必要となる方法でした。ところが、ここ数年CTの検査でこの冠動脈を描出することができるようになりました。CT検査ですので、患者さんは造影剤の点滴で寝転んでいるだけで、しかも外来において検査が可能となりました。「心臓がちょっと心配だが、入院して心臓カテーテル検査までは受ける気がしない」という場合、外来で検査可能な冠動脈CTが有用でしょう。
胸痛などで当院を受診され、心電図や心エコーの検査を行った結果さらなる精査が必要な場合、冠動脈CTの検査可能な総合病院へ紹介手配をしています。
                                      平成22年5月

 朝活(あさかつ)のすすめ

「朝活」という言葉をご存じでしょうか。「朝の仕事前の時間を有効に活用する」からきています。日経の調査でも「朝の時間を活用したいか」との質問に約8割の人は「活用したいと思う」と答え、実際に活用している人も3割にのぼっています(2008年12月日経)。具体的には、@ちょっと早起きする。A朝食をちゃんと食べる。Bちょっと早めに会社に行く。Cオフィスについてメールチェックなど簡単な仕事をする。最近では、会社の自席で朝食をとる「席朝」もはやっています。実際CMも盛んに流れていますよね。朝の時間に散歩や運動をするのも有効です。
9時の始業時点では、すでに頭の活動もフル回転になっているので、午前中の作業効率がよくなるのは当然で、業績もアップするでしょう。「朝活」は仕事上よいだけでなく、生活習慣病対策といった健康の面からもおすすめです。朝寝坊して朝食もとらず、始業時刻ギリギリに会社に飛び込むというのは、これからの時代いかがなものでしょうか。「朝活」はこれからの時代ますます重要視されてくるでしょう。まさしく「早起きは三文のとく」ですね。
                                      平成22年4月

 花粉症にガムが効く

今年はちょっと軽いようですが、そろそろ花粉症の季節になってきました。スギ花粉が2月から4月、続いてヒノキ花粉と、花粉症の人にとってはつらい時期になってきました。さて、今月は花粉症にガムが効くというお話です。効き具合については人それぞれですので、そういう効果もあるという程度にご理解いただければと思います。
ガムが花粉症予防に効くことは、ガムメーカーなどで研究され証明されています。メカニズムとしていくつかあげられます。@ガムの中でもミント系のガムがよいみたいです。確かに歯磨き粉などでミント味のものは鼻にスーと通る感じがしますよね。さらにペパーミントにはアレルギーの原因物質であるヒスタミンの遊離を抑制する作用もあるそうです。A「そしゃく」という「かむ」運動により、鼻腔の血流をよくし、鼻づまり予防になります。花粉症には内服薬や点鼻スプレーもありますので、症状の強い方は医師にご相談ください。
                                      平成22年3月

 ナトリウム量と食塩量の違い

今回は学生時代を思い出していただき、計算で頭の体操です。健康のため減塩が大切であることははっきりしていますが、最近の食品表示を見てみますと、塩分量が記載されたり、ナトリウム量が記載されたりと、ちょっと頭が混乱してしまいますよね。ナトリウムはそのまま塩分量に相当するのではなく、「ナトリウム(mg)X2.54÷1000=塩分(g)」が正解です。こんな難しい式を出されても、ますます混乱・・。
そこで、わかりやすく説明します。ナトリウム量はグラム単位になおし、100rなら0.1g、1000rなら1gです。そしてそのナトリウムのグラム数に2.54を掛け算したものが塩分のグラム数になります。「ナトリウム(g)X2.54=塩分(g)」となります。例えば「ナトリウム1000mg含有」なら、塩分相当量は2.54gです。
食塩をかけずに、2.54をかけましょう・・・ダジャレです(笑)
                                      平成22年2月

 糖尿病の新しい治療薬

このたびインクレチン関連薬である「DPP-4阻害薬」が、国内では10年ぶりの新しい作用機序をもつ経口2型糖尿病治療薬として発売開始となり臨床で使えるようになりました。インクレチンとは食後に腸管から分泌されるホルモンの総称で、食事をすると血糖値が上昇しますが、インクレチンは血糖値のレベルに合わせてインスリンの分泌を促します。低血糖を起こしにくく、体重も増やさない新たな薬が開発され、一般的には血糖値を下げるということで注目されていますが、個人的には別の点でこの薬に期待をしています。それはどうもこの薬には低血糖のときには血糖値を上げる作用もあるらしく、「血糖値を安定させる」ということができるかもしれません。糖尿病の臓器合併症を予防するために「血糖値を安定させる」ということは重要なことです。まだ発売されたばかりで、長期投与の効果や副作用等をチェックしていかなければなりませんが、おおいに期待したいところです。
                                      平成22年1月

 サンタさんへ

トナカイのそりに乗ってクリスマスイブの夜に子供たちにプレゼントを配って歩くおじさんサンタクロース。もともとは3世紀に実在した聖ニコラスがいつのまにかサンタクロースと呼ばれるようになったそうです。
我が家も含め多くのご家庭のサンタクロースさんは深夜のプレゼントのため本日寝不足でしたでしょうが、朝、子どもたちの喜ぶ顔を見ると、一気に元気になりますね。
サンタさん!やはり子供たちのために、健康でいましょう!!
                                      平成21年12月25日

 新型インフルエンザ繰り返す流行に備えて

今回も新型インフルエンザについてです。今、小中学・高校生の間で新型インフルエンザが蔓延し、学級閉鎖や学年閉鎖が相次いでいます。みなさん日本で初めて新型インフルエンザが発生したのはいつだったか覚えておられますか?答えは「今年の5月」です。今年の5月中旬に神戸で国内最初の発生が報告されました。その後学生を中心に近畿から全国へと広がり、わずか半年でこれほどまでに蔓延したのです。
今は子供たちを中心に流行していますが、今後大人にも蔓延してくると考えておくことが必要でしょう。そこであらためて感染予防の意識を持っていただきたいと思います。
新型インフルエンザ予防には、手洗いとうがい、そして咳が出るときにはマスクです。慣れてくると基本を忘れがちになります。基本をしっかり守りましょう。油断した時が一番危ないですよ。
                                      平成21年11月

 新型インフルエンザ診断迅速キットの診断能力

最近新型インフルエンザの流行で小中学校・高等学校での学級閉鎖や学年閉鎖が相次ぎ、マスコミでもたくさんの情報が発信されています。新型インフルエンザの診断は正確にはPCRを用いた特殊な検査が必要ですが、一般臨床現場では行えないため、現在迅速簡易キットを用いた診断が行われています。この迅速キットでは鼻腔の粘液を綿棒で取り、約15分で診断がつきます。さて、今月のコラムはこの迅速キットの診断能力についてです。
結果からいうと、発熱当日の陽性率(インフルエンザの患者さんを「インフルエンザ陽性」と診断できる割合)は約70%、発熱翌日の陽性率が約90%、発熱2日後だと約60%なのです。これまでいくつかの報告がありますが、だいたいこれくらいの数字となっています。つまり、熱が出てすぐ病院に行き診察をうけた場合、検査が陽性であればインフルエンザだと診断がつきますが、検査が陰性であったからといっても、インフルエンザではないとはいえないということです。ですから厚生労働省も、検査陰性であっても症状からインフルエンザ感染を疑う場合は、積極的に抗インフルエンザ薬を早期投与するよう勧奨しています。
                                      平成21年10月

 「カロリーゼロ」と「カロリーオフ」の違い

最近しきりに宣伝されている「カロリーゼロ」の清涼飲料水。食品のエネルギー量の表示は法律で決められており、「ノンカロリー」、「カロリーゼロ」という表示は、エネルギーを100mL当り5kcal未満に抑えているものです。カロリーゼロの表示があっても必ずしもカロリーは「ゼロ」ではありませんが、一般的な清涼飲料水に比べれば圧倒的にカロリーはゼロに近いといえるでしょう。
一方「カロリーオフ」は同じく20kcal未満の場合です。つまり、500mlのペットボトル1本飲むと茶碗半分のご飯を食べたのと同じで、カロリーオフというのは、結構カロリーが入っており注意が必要なんです。
話はもどってカロリーゼロの清涼飲料水。これを飲んでも血糖値は上がりません。これまで糖尿病の人など食事療法をきっちり行う必要のある人も、「カロリーゼロの飲料水は時々ならOK」と言えそうです。カロリー摂取を抑えてきた人にとっては涙が出るほどありがたい飲み物なのですが、一方で、人口甘味料で太りやすくなるとの報告もあり、過剰摂取は避けるべきです。カロリーがないから大丈夫といって甘いものに慣れてしまい、食事療法の基本である「カロリーを制限する」ということを忘れてはいけないようです。
                                      平成21年9月

 熱中症にご注意を

ここ10年増加している熱中症、これは高温の環境下で体温調整が破たんし発症する病気で、症状はめまいや気分不良、さらにひどくなると意識障害をきたします。予防としては、
@直射日光を避けるー帽子や日傘を用いましょう。
A服装は涼しい格好で。まさしくクールビズがいいです。
Bこまめに水分補給をしましょう。スポーツドリンクがおすすめです。
C体調の悪い時には無理をしないように。
もし炎天下で体調を崩した人を見かけたときは、「あわてるな、されど急ごう救急処置」です。重症度の判定は意識がしっかりしているかどうかです。意識がもうろうとしている場合はすぐ救急車を要請しましょう。そして救急車が到着するまでに、体を冷やすことに努めます。日かげなど涼しい場所に移し、体に水をかけうちわで扇ぎます。気化熱を利用して体を冷やしましょう。
                                      平成21年8月

 紫外線から身を守る

今回は文字通り雲をつかむような場所、オゾン層のお話です。
紫外線の一部は殺菌灯として利用されるように、生物にとって有害となりうる因子でもあります。これまでオゾン層は太陽光線を遮断し、この有害な紫外線をブロックしてきました。ところが近年そのオゾン層がフロンガスなどにより破壊され、有害な紫外線が地上にまで届くようになってきました。
昔は真っ黒に日焼けした子供は、冬も風邪ひかないなどと言われましたが、太陽光線の「質」が変わってきたことから、残念ながら日焼けすることは危険なことになりつつあります。母子手帳にも「日光浴をさせましょう」という言葉はなくなり、未来を担う子供たちを有害な紫外線から守るという考えが広まってきました。
環境省も紫外線保健指導マニュアルを策定し、帽子をかぶる、日焼け止めクリームを用いるなどの紫外線対策を示しています。
                                      平成21年7月

 食中毒予防の三大原則

食中毒の発生しやすい季節になりました。食中毒を予防するための3大原則は、@つけない(清潔)、Aふやさない(迅速、冷却、乾燥)、Bやっつける(加熱)です。
@つけない(清潔)
食中毒の原因となる細菌やウイルスは食べ物と一緒に口から入ってきます。ですからまな板や包丁を清潔に保ち、調理や食事の時は石けんでしっかり手洗いすることが大切です。石けんでの手洗いはインフルエンザ予防にも共通します。
Aふやさない(迅速、冷却、乾燥)
食材を冷蔵・冷凍することは細菌などの増殖を抑えるのに効果的ですが、冷蔵庫の過信は禁物です。新鮮なものを新鮮なうちに食すことを心掛けましょう。
Bやっつける(加熱)
細菌を死滅させるのに最も効果的な方法は加熱することです。食中毒でしばしば取り上げられるノロウイルスやO157なども加熱(75〜85℃以上で1分間加熱)によりやっつけることができます。
                                      平成21年6月

 寝酒は不眠のもと

不眠にはいくつかのタイプがあります。
@入眠障害:床についた後、なかなか寝付けない。「すんなり寝付けない」「床についてから寝付くまでに時間がかかる」など。
A中途覚醒:一度眠った後、翌朝起床するまでに何度も目がさめてしまう。「夜中に何度も目がさめる」など。
B熟眠障害:睡眠時間は十分だが、眠りが浅い。「ぐっすり眠れない」「眠った気がしない」など。
C早朝覚醒:本人が望む時刻よりはやく目がさめてしまう。
不眠への対処としてしばしば行なわれる「寝酒」は実は適切な方法ではないのです。アルコールは一時的には寝付きを良くしますが、睡眠を浅くし、利尿作用があるため夜間の頻尿をもたらし、中途覚醒や早朝覚醒の原因となります。さらにアルコールは耐性を形成し、しだいに量が増えるため肝臓などをいためることとなります。
不眠に対しては生活のリズムを規則正しくし、就寝前は刺激物を避け、照明などリラックスできる状態にするとよいでしょう。
不眠と生活習慣病の関連も指摘され、質のよい睡眠が重要視されるようになってきました。最近は副作用の少ない安全な睡眠薬もありますので、ご相談いただければと思います。
                                      平成21年5月

 ことわざを医学する

「春眠暁(あかつき)を覚えず」という言葉があります。春になるとどうしてこうも朝が眠いのでしょうか。「春になると、ふんわか・のんびり気分になって朝が眠いのだろう」と思われる方も多いかもしれません。実はこの「春眠暁を覚えず」には睡眠に関する最新医学の話題が隠れています。
人間の体には体内時計というものがあり、1日25時間の長さで時を刻んでいることがわかってきました。ところが1日は24時間であり、そこに狂いが生じてきます。そこで朝、目が覚めて日光を浴びることにより、その体内時計はリセットされ、再び1日のリズムを刻み始めるようになっています。言い換えれば、人間の体は毎朝日光を浴びることにより、新たな1日を認識し体調を整えていきます。
昔は太陽が時計代わりになり、人は日の出とともに活動を開始していたことでしょう。春になるに従い日が昇る時刻は早まるのに、冬時間にセットされた体内時計はそれに追いつくことができない、これが「春眠暁を覚えず」の正体のようです。さぁ朝日を浴びて、今日も1日元気に頑張りましょう。
                                      平成21年4月

 家庭血圧を測定しましょう

血圧は常に変動しています。興奮すれば血圧は高くなるし、リラックスすれば血圧は下がります。食事をすれば高くなるし、入浴後や飲酒後は低くなります。1日の中でも血圧は変動しており、通常は日中高く、深夜寝ている時には低くなっています。そして朝起床時に交感神経が緊張し、血圧が一気に上昇します。さらに1年通してみてみると、気温の高い夏には血圧は下がり、気温が低くなる冬には血圧は高くなっています。
生活習慣病の中でも高血圧症は最も頻度の高い疾患で、内服治療をうけておられるかたも多いでしょう。高血圧の治療を行なう上で重要な情報となるのが家庭での血圧です。特に大切なのが朝起床時の血圧です。私は高血圧治療を受けておられる皆様に家庭血圧を測定していただいています。そしてその家庭血圧を見ながら薬の量や種類の微調整を行なっています。
電気屋さんで家庭用血圧計が販売されています。健康管理のひとつとして、ご家族皆さんで家庭血圧を測定しましょう。
                                      平成21年3月

 ノロウィルス:予防の基本は手洗い!

最近、ノロウィルスを原因とする下痢やおう吐などを示す感染性腸炎が流行しています。
潜伏期間(感染してから発症するまでの時間)は24〜48時間で、主な症状は吐き気・おう吐・下痢・腹痛で、時には発熱もきたします。これらの症状が1〜2日続いた後、後遺症もなく治ります。ただし幼児や高齢者など体の抵抗力の弱い人が感染すると、脱水症状などで重症化することがあり注意が必要です。
感染予防の基本は「手洗い」です。
感染はたいてい経口感染(口から食べ物と一緒に体内に入ること)です。食事前やトイレの後など石けんでしっかり手を洗いましょう。
                                      平成21年2月

 おせち料理に学ぶ健康について

お正月といえばおせち料理ですね。
黒豆は「破邪の意味をもつ黒に、勤勉さなどを意味するマメの豆」。昆布は「よろこぶ」。数の子は「子だくさんで子孫繁栄」を意味し、ごぼうは「しっかりと地面に根をはる」。紅白かまぼこも「めでたさの紅白」とかかせません。それぞれの食材はそれぞれの意味を持っていますが、実は健康という観点からもおせち料理は大変優秀なメニューとなっているのです。
黒豆には鉄分・ビタミンE・食物繊維・植物性タンパク質などさまざまな栄養素を含み、田作りはカルシウムが豊富で骨粗鬆症の予防につながります。ごぼうも食物繊維に富み動脈硬化の進行を抑えます。
近年食事の西洋化により生活習慣病が急増し、魚や野菜中心の日本古来の食事の重要性が見直されています。健康志向の外国では日本食ブームにもなっています。さあ、おせち料理をいただきながら、日本食のよさを再認識してみませんか。
                                      平成21年1月

 適切な飲酒量は?

忘年会シーズンになりましたね。ここ本通でも行きかう人が増えてきました。
さて「酒は百薬の長」と言われるように、個人差はあるものの適正量の飲酒は健康にとってよいものとされています。実際アルコールを全く飲まない人よりちょっとだけ飲む人のほうが元気に長生きすることがわかっています。でも度を超えた飲酒は逆に健康を害してしまいます。では適切な飲酒量とはどれくらいなのでしょうか。
アルコール飲料にはエチルアルコール(エタノール)が含まれており、これが1日20gになるのがちょうど良いとされています。ビール中瓶(500ml)1本(エタノールで20g)、日本酒1合(同22g)、ワイングラス1杯半(同18g)、ウイスキーやブランデーのダブル1杯(同20g)が1日の適正量となります。また週に2日アルコールを飲まない日(休肝日)をつくることもお忘れなく。
まさに「一杯は人、酒を飲み、二杯は酒、酒を飲み、三杯は酒、人を飲む」です。
                                      平成20年12月

 温泉療法について

ずいぶん寒くなってきました。こういう季節になると行きたくなるのが温泉ですね。今回は温泉療法についてご紹介しましょう。温泉療法とは温泉に入浴するだけでなく、場合によればお湯を飲んだり吸入したりして、傷や病気をなおす医学的治療法です。
大きく3つのパターンに分けられます。
@医学的知識を用いて傷や病気をなおす「療養」、
A温泉に通ったり滞在して休養・治療する「湯治」、
B心身を休め、休養する行楽的な意味合いを含む「保養」です。
温泉療法の歴史は古く、医学が発達しておらず、病気になると神に祈りをささげていた古代では、温泉療法は病気を治す方法として大きな意味を持っていました。その後各地に温泉場が発見され、最近では化学や地質学の発達により温泉成分の解析もずいぶん進みました。一方で、温泉には禁忌症があり、発熱などの急性疾患、重い心臓病など、温泉に入ってはいけないと表示されている場合があるのでご注意ください。
                                      平成20年11月

 インフルエンザ予防接種について

例年10月15日ごろよりインフルエンザ予防接種を開始します。インフルエンザについて海外での最も古い記述は紀元前412年にさかのぼります。16世紀にはすでにインフルエンザという名前で呼ばれていたようです。わが国でも平安時代にインフルエンザの流行をうかがわせる記述があり、江戸時代には「はやり風邪」などと呼ばれて恐れられていました。昔も今も予防が第一です。日常生活ではうがい・手洗い、体調を整え抵抗力をつけ、室内では適度な湿度を保つことが有効ですが、まずは予防接種を受けることをお勧めします。
一般の方は3150円、65歳以上の方は自己負担額1000円です。
                                      平成20年10月


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